時が経つのは早いもので、2021年もすでに半分を過ぎようとしています。そこで今回のレポートは、若干早めですが、本年前半を振り返り、国内Apple App Storeで、どのアプリがダウンロード数、売上金額を増加させ、どのパブリッシャーが本年好調なスタートを切ったのか等、GameカテゴリとNon-Gameカテゴリに分けて、本年前半のアプリとパブリッシャーのダウンロード数・売上金額のランキングをレポートします。
下記Figure 1は、本年1月1日から6月21日までの国内Apple App Store、Gameカテゴリでのダウンロード数ランキングトップ10アプリです。今年のアプリの話題と言えば、何と言ってもCygames社の「ウマ娘 プリティダービー」。本年2月にリリースされ、ゲームカテゴリのダウンロード数、売上金額でトップとなっています。
ダウンロード数ランキングで特徴的なのは、ランキングトップ10内の6アプリは全て海外産のアプリになっている点です。この現象は数年前から起こっており、特に海外で人気を得ている「ハイパーカジュアルゲーム」が国内でも拡大していることを示しています。
Figure 1
国内Apple App Store
2021年1月1日-6月21日
Gameカテゴリ/ダウンロード数トップ10アプリ
Source : Airnow社Airnow Data, Apple App Store, January 1 – June 21 2021, Japan
ダウンロード数で見た場合の海外アプリの人気は、パブリッシャーのランキングでも明確に裏付けています。トップはフランスの「ハイパーカジュアルゲーム」パブリッシャーVoodoo社。前期間からは300万以上ダウンロード数を減少させていますが、本年に入っても700万以上のダウンロード数を維持しています。その他、米国のMagic Tavern社、イスラエルのSupersonic Studios社、ドイツのPopcore社、中国のNetEase Games等、トップ10中の5社が海外パブリッシャーとなっています。
Figure 2:
国内Apple App Store
2021年1月1日-6月21日
Gameカテゴリ/ダウンロード数トップ10パブリッシャー
Source : Airnow社Airnow Data, Apple App Store, January 1 – June 21 2021, Japan
次にNon-Game(ゲーム以外)のアプリではどのような結果になっているのでしょうか?トップはビデオ会議の「Zoom」。前期間からはダウンロード数は減少していますが、昨年からのコロナ禍の影響でビデオ会議の需要は拡大しており、この期間では800万に迫るダウンロード数をなっています。このダウンロード数は、ゲームトップの「ウマ娘 プリティダービー」よりも約300万上回る結果となっています。
その他この期間に急激にダウンロード数を増加させたのは「LINE」と「マイナポイント」。「LINE」は、本年3月からサービスを開始した低価格携帯電話サービス「LINEMO」に関連したキャンペーン、「マイナポイント」はマイナンバー普及のため、最大5000円のポイントが付与されるキャンペーンを実施したことがその要因と考えられています。
Figure 3:
国内Apple App Store
2021年1月1日-6月21日
Non-Gameカテゴリ/ダウンロード数トップ10アプリ
Source : Airnow社Airnow Data, Apple App Store, January 1 – June 21 2021, Japan
Non-Game(ゲーム以外)のパブリッシャーを調査してみると、この時期最大のダウンロード数を獲得したのは「Google LLC」。その内訳は、「Google Map」や「Gmail」等の定番アプリも含まれますが、最大のダウンロード数を獲得したのはGoogle傘下の「YouTube」。Google関連アプリ全体の17%を占めます。やはりコロナ禍による「おうち時間」の増大でダウンロード数が拡大したと考えられます。
またこの時期、ダウンロード数を増大させたパブリッシャーは「LINE Corporation」。本年3月からサービスを開始した低価格携帯電話サービス「LINEMO」に関連したキャンペーンが功を成したのと、やはりコロナ禍の影響で「LINEマンガ」「LINE: ディズニーツムツム」等のコミック、ゲームアプリのダウンロード数が増加したことが要因として挙げられます。
Figure 4
国内Apple App Store
2021年1月1日-6月21日
Non-Gameカテゴリ/ダウンロード数トップ10パブリッシャー
Source : Airnow社Airnow Data, Apple App Store, January 1 – June 21 2021, Japan
次にゲームアプリの売上金額ランキングを見てみましょう。本年に入って最大のトピックスは、何と言っても本年2月にCygames社からリリースされた、アドベンチャー/シミュレーション・ゲームの「ウマ娘 プリティーダービー」でしょう。過去長年に渡り売上金額ランキングの上位を独占してきたスーパーヒットゲームアプリ「モンスターストライク」「パズル&ドラゴンズ」「Fate/Grand Order」の牙城を切り崩し、今回の期間ではトップに輝いています。
その他本年に入って注目すべきゲームアプリは、第9位、中国系ゲームアプリパブリッシャーmiHOYO社がリリースした「Genshin Impact」(邦題「原神」)。トップ10内の他アプリのほとんどは、国内大手パブリッシャーからの強力なIPを伴ったものですが、「Genshin Impact」は昨年9月にリリースされた全くの新作ゲームです。さらにこのゲームの特徴は、日本よりも米国の方がダウンロード数、売上金額が多く、海外市場でも成功している点が挙げられます。
Figure 5
国内Apple App Store
2021年1月1日-6月21日
Gameカテゴリ/売上金額10アプリ
Source : Airnow社Airnow Data, Apple App Store, January 1 – June 21 2021, Japan
次にゲームアプリの売上金額をパブリッシャー単位で見てみると、Cygames社が一人勝ちの状況になっていることが分かります。その要因はやはり、本年2月にリリースした「ウマ娘 プリティーダービー」で、このアプリのCygames全体の売上金額に占める割合は83%となっており、本年いかにこのアプリがCygamesの売上に貢献しているのかが推察できます。
逆に、過去売上金額ランキングでは、常に上位をキープしてきたXFLAG、Bandai Namco、NetEase、Square Enix等のパブリッシャーは、前期間と比較して大きく売上を減少させています。
Figure 6
国内Apple App Store
2021年1月1日-6月21日
Gameカテゴリ/売上金額10パブリッシャー
Source : Airnow社Airnow Data, Apple App Store, January 1 – June 21 2021, Japan
Non-Game(ゲーム以外)アプリの売上金額ではどうでしょうか?コロナ禍の影響で、昨年から売上金額を増加させているゲーム以外のアプリのカテゴリでは、コミック系、動画系、マッチング系、音楽系挙げられます。
今回の期間で売上金額トップは、Kakao Japanがリリースしたコミック系アプリ「ピッコマ」。本年に関しても売上増のトレンドは継続しており、他アプリを大きく引き離しています。
その他、本年に入っても売上を伸ばしているNon-Gameアプリは、動画系では「YouTube」。広告なし等の有料サービスが好調で、「U-Next」「Hulu」も前期間から60%以上も売上を伸ばしています。その他音楽系では「LINE Music」、マッチング系では「Pairs」が売上を増加させています。
Figure 7
国内Apple App Store
2021年1月1日-6月21日
Non-Gameカテゴリ/売上金額トップ10アプリ
Source : Airnow社Airnow Data, Apple App Store, January 1 – June 21 2021, Japan
最後にNon-Game(ゲーム以外)のパブリッシャー売上金額ランキングを見てみましょう。トップはLINE Corporation。内容的には「LINEマンガ」がトップになっていますが、LINEアプリ全体としては、前期間を下回る結果となっています。
この期間で、前期間から最大の売上増を達成したNon-Gameのパブリッシャーは、やはり「ピッコマ」を有するKakao Japanで、その増加率は145.2%となっています。
その他、この期間、前期間から売上金額が急増させたのは、動画のU-NEXT、J Holdings(主要アプリ「Hulu」)、Google LLC(主要アプリ「YouTube」)、AbemaTVが挙げられます。
Figure 8
国内Apple App Store
2021年1月1日-6月21日
Non-Gameカテゴリ/売上金額10パブリッシャー
Source : Airnow社Airnow Data, Apple App Store, January 1 – June 21 2021, Japan
弊社のパートナー、インターアローズが国内総代理店となっている米国MIXRANKは、データの取得が難しいiOSアプリ内での採用SDKデータを提供できることで、世界的に高い評価を得ています。今回のレポートでは、このMIXRANKのデータを使用して、本レポート上記トピックスで、Non-Gameダウンロード数トップとなっているビデオ会議アプリ「Zoom」を取り上げ、このアプリが現在どのようなSDKを採用しているのかをレポートします。
下記Figure 9が、2021年6月10日のアップデートの際での「Zoom」アプリが採用しているSDKの一覧となります。「Zoom」アプリの特徴としては、コロナ禍の影響により世界規模で「Zoom」アプリの爆発的な利用が開始される前には、GoogleやFacebookが提供しているSDKや、WeChatや広告関連のSDK等を多用していました。しかしながら、コロナ禍により「Zoom」が世界中で使用されるようになると、機能性を重視してか、2020年3月、4月にはこのようなSDKを削除し、SDKのスリム化を図っています。
ビデオ会議アプリとしての機能を最適化させるためか、採用しているSDKの大半はAppleが提供しているものにし、広告やSNS関連SDK等は採用していないことが分かります。
Figure 9:
2021年6月10日
iOS版「Zoom」アプリ採用SDK一覧
Source : MIXRANK社調べ
Airnow社は、英国ロンドンに本社を持つ、アプリ・マネジメント・ソリューション提供会社です。アプリ市場分析データ、アプリ配信、アプリ・サイバーセキュリティ、アプリ・マネタイゼーションのサービスをワンストップで提供しています。Airnow Data(旧PrioriData)は、このAirnowのアプリ市場分析データサービス部門。アプリストア上でランキングされているアプリのダウンロード数、売上金額データを提供しています。デイリーベースで55カ国、カテゴリ分析、パブリッシャー市場占有状況、ダウンロード数、売上金額、DAU、MAU、及びARPDAU(1日のアクティブユーザー一人当たりの売上金額)のデータを提供しています。MAU、DAUは通常アプリに実装された測定用SDKを使い、モバイルアプリユーザをパネルとして推定値を出しますが、 Airnow Data(旧PrioriData)は、Airnow社傘下企業およびデータパートナーとの提携により150万社のデベロッパー及びパブリーシャーデータと、トラッキング対象ディバイスは35億とビックデータを活用し算出されているのが特徴です。クライアントにはHSBC, Mastercard, ebay, PayPal, Unilever, Sony, BMWなどがあります。
詳しくは https://www.airnowjapan.com/
米国サンフランシスコで生まれた先進的なテクノロジーデータ「MIXRANK」は、WebサイトテクノロジーからモバイルSDKデータ、ディスプレイ・テキスト広告まで、総括的にデータをトラックします。特にWebテクノロジーと、iOSを含むモバイルアプリ・SDKデータの両方をトラックしている企業はほとんどなく、MIXRANKが高い評価を受けてる理由の1つです。SDKに関しては、世界200カ国、アプリ及びアプリ内で採用されているSDKデータを提供。取得が難しいと言われるiOSのアプリデータに関しても、760万以上のiOSアプリの実装SDKデータを保有。さらにそれがいつ採用され、いつ削除されたかのデータも提供可能です。
詳しくは https://interarrows.com/mixrank.html
株式会社インターアローズ
インターアローズは、 デジタルマーケティング&ソリューション・エージェンシー。ICT世界市場における技術動向の調査および評価を通じて、革新的なインターネットデータおよびソリューションサービスを顧客に提供しています。
インターアローズはまた、グローバルな技術とビジネスを日本に紹介することを専門としています。
戦略的海外パートナーには、Airnow、Airnow Data、MIXRANK、UXCam、およびCrazy Eggがあります。 インターローズは東京とロンドンにオフィスを構えています。
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スマーフォンアプリ市場分析データ Airnow Data(旧Priori Data):https://www.airnowjapan.com/
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担当:高橋 治彦 takahashi@airnowjapan.com